第9回スターリングテクノラリー競技規則
(2005.1.29改定)
第1章 競技の目的・定義
(目的)
第1条 本競技はスターリングエンジンとその関連技術の発展・向上を期して主催者・参加者全員協力して行う技術的競技である。
(定義)
第2条 本競技は本規則に従って自作スターリングエンジンの性能とアイデアを競うものである。スターリングエンジンによる車両、またはスターリングクーラによって参加する。
第3条 競技のクラス分け
(L) 人間乗車クラス(走路を周回、一定時間の走行距離を競う)
(NO)ノーマルクラス(高校〜一般参加 長円形走路60m)
(NY)ヤングクラス(小中学生参加 直線走路10m)
(MS)ミニサイズスピードクラス (周回走路約9m)
(MD)宙返り耐久クラス(宙返りを含む走路を周回、周回回数を競う)
(C) クーラクラス
第2章 参加申し込み
第4条 各チームとも所定の参加申込用紙に必要事項をすぺて記入し申し込み期間内に大会事務局に提出しなければならない。
第5条 電話による申し込み、締め切り日以降の申し込みは受け付けない。
*チーム員構成(これを標準とするが、一人で兼務も可)
チームマネージャー(責任者) 1名
メカニック 1〜2名以上
*学校から参加の場合、指導教員がチームマネージャーであること。
第6条 同一車両(1台の車)による複数エントリーは認めない。
当日の参加申し込み、車両の追加、参加車両名の変更、クラス変更は認めない。
第3章 参加受理・受付
第7条 参加申込書(1)、(2)は、大会事務局で受理し、締め切り後に受付登録カードが発行される。ただし、記入洩れ等のあった場合はこの限りではない。
第8条 タイムスケジュールは、申し込み締め切り後、参加の手引き等により申込者に示される。
第9条 参加の受付の場所・時間は参加の手引き書等によって示される。すべての参加チームは定められた時間内にその代表者が参加受付を行わなければならない。
第4章 車両検査
第10条 車両検査の場所及び時間は参加の手引き等により示される。すべての参加チームは定められた時間内に車両検査を受け、合格しなければならない。車両検査に合格した車両は、本委員会が発行する車検合格証を発行する。
第11条 車両・チームマネージャーとともに出走と同様の状態で車両検査に臨まなくてはならない。またその際、車両の構造についての車検員からの質問に的確に答えられる者が付き添うものとする。
第12条 車両検査の結果、規則違反及び安全上不適当とされた車両は競技に参加することができない。これらの車両は、テスト走行を行う場合がある。
※ただし、定められた時間内であれば修理・改良をして再車検を受けることができる。
第5章 スターリングエンジンカー車両規則
(人間乗車クラス、クーラクラスについては別に定める)
第13条 参加車両は停止時・走行時に関わらず自立できる構造とする。
第14条 車両の大きさ
(NO) ノーマルサイズクラス
長さ600mm×幅280mm 以内とし高さの制限はない。
熱源を搭載し、搭載熱源で始動、加熱状態で走行する。
(NY) ノーマルサイズクラス
長さ600mm×幅280mm 以内とし高さの制限はない。
(MS) ミニサイズスピードクラス
幅105ミリ以内とし 長さ、高さは自由
(MD) 宙返り耐久クラス
幅105ミリ以内とし 長さ、高さは自由
第15条 すべての車両は車体番号を車体の見やすい位置に表示しなければならない。また、MSクラスでは高さ20〜25mmの位置にある光線を車両の通
過によって0.01秒以上の間遮断できることが必要である。ノーマルクラスの車両は手動によるストップウォッチで走行時間計測を行うので、センサにかかわ
る制限はない。
第16条 車両の加熱部分・付近は不燃材料で製作し、いかなる状態においても火災を発生しない構造であること。
第17条 車両は走行中、競技コースを破損したり、汚したり、ぬらしたり、車体の一部分を残すような構造であってはならない。
第18条 車両はスターリングエンジンのみで走行しなければならない。ただし、EV車両はこの限りではない。
第6章 エンジン(クーラクラスについては別に定める)
以下の条件をみたし、スターリングサイクルを繰り返すものであればどのような構造でもかまわない。
第19条 作動流体は空気を含む不燃ガスとする。尚、高圧の場合は安全に注意する。
第20条 冷却は、空気もしくは水等で行うものとし、競技前の予備冷却も同様とする。ただし、ドライアイスやガス類は認めない。
第21条 ノーマルクラスの加熱方法は、搭載した加熱源のみで行うものとする。他の方法による加熱は認めない。また、加熱源(燃料)はどのようなものを使用してもよいが、いかなる状態においても流出してはならない。
第7章 競技の進行
(人間乗車クラス、クーラクラスについては別に定める)
(スタート)
第22条 競技者は、スタート係員の指示によりエンジンを始動し、スタートエリア上に接地させる方法で行う。車両のスタートはスタートエリア内であればどの位置から行っても構わない。
第23条 計測開始時間は、ノーマルクラスとミニクラスは、車両が計測装置のセンサを通過したときとする。人間乗車クラス(ストップウォッチ)は、スタートラインを車両の前輪が通過したときから始める。
第24条 スタートは、必ずエンジンの動力で発進すること。もし、主催者係員が競技者に不正があったと判断した場合は、フライングと見なす。
第25条 フライングと判断された場合、一度だけ再スタートを行うことができる。
(競技中の停車)
第26条 競技中何らかの原因で停車した場合、競技者はその場から再スタートすることができる。その際、その場での再加熱と30cm以内に限り押すことを認める。なお、停車以外で走行中の車両に触れることはできない。
(ゴール)
第27条 ゴール時間は車両が計測装置のセンサ及びライン(ストップウォッチ)を通過したときとする。ただし、MDクラスでは走行が中止された時点がゴールである。
第28条 競技者は安全にエンジンを停止させ、係員の指示に従うこと。
第29条 規定時間内にゴール出来なかった場合、競技終了とする。(MSクラス3分間まで、NO、NYクラス7分間までとする。)
第8章 失格
第30条 他の動力を使用して走行した場合。ただしSEEV車両についてはこの限りでない。
第31条 その他競技・車両規則に違反した場合。
第32条 係員の指示に従わなかった場合
第9章 走行順位の決定
第33条 車両競技の順位は下記の基準を順に適用して決定する。
1) NOクラス、NYクラス、MSクラスの順位は走行速度の速い順とする。
2) MDクラスの順位はループの通過回数の多い順とする。
3) Lクラスの順位は周回数の多い順とする。周回数が同一の場合は走行距離によって順位を決する。
4) 以上で順位が決しない場合は2回の走行を合わせて決する。
5) 以上で順位が決しない場合は車両重量の軽い方を上位とする。
第10章 競技場の規格
(人間乗車クラス)
第34条 人間乗車クラスの競技は角形走路で行う。定められた時間(10分間)内に走路を何回周回できるか、その周回数を競うものとする。1周に満たない場合は走行距離を記録する。
図10-1.人間乗車クラス コース図(路面は平坦な舗装路面(ブロック敷)) |
(ノーマルサイズクラス)
第35条 ノーマルサイズクラスの競技場は、本大会が設置した長円形競技コースである。(図10-2) コース内を60メートル走行する。スタートライン、ゴールラインは当日設定した通りとする。
第36条 舵取り装置(操舵)の制御にラジコンを使用してもよいが、本部で定めたクリスタル(周波数)以外は使用しないこと。(混信防止)
図10-2 ノーマルクラス コース概略図 |
(ミニサイズスピードクラス)
第37条 ミニサイズスピードクラスの競技コースは約9mの周回とし、コース幅115ミリ、フェンスの高さ50ミリとする。(図10-3) コースを一周するタイムで競う。
図10-3.ミニスピードクラス用コース図 (タミヤ「ミニ四駆コース」) |
(宙返り耐久クラス)
第38条 宙返り耐久クラスは高さ0.85mの宙返り走路を含む長円形コース(全長約12m、図10-4)で行う。周回によって何回ループを通過できるか、ループ通過回数を競う。
図10-4.宙返り耐久クラス コース図 |
第11章 人間乗車クラス車両規定
第39条 車両については次の条件を満たすことが必要である。
1)運転者が安全に走行できるサイズであること。
(2輪・3輪・4輪車両可能)
2)四角形走路のコーナーを旋回できるサイズ・構造とすること。
3)第13条、第16条、第17条、第18条を満足すること。
第40条 制動装置
走行中安全に停止させることのできる性能とする。
第41条 エンジン
第6章参照 ただしSEEV車両はこの限りではない。
第42条 ドライバーと車両の装備
1) ドライバーは長袖・長ズボン・難燃性の手袋等を装着し、十分に安全を確保できる服装であること。
2) 車両には対人・対物に対する安全を確保できる装置を設置すること。
3) 車両には主催者が指定した車両登録番号を、30cm x30cmのゼッケンに表示し、車両両側の見やすい位置に取り付けなければならない。
第43条 スタートと再スタート
1) スタートエリア内でスタートし、前輪がスタートラインを通過した時点から計測を始める。
2) スタートエリア内で、補助者に押してもらって発進することは可とするが、始動可能な最低限の速度とする。過多に勢いをつけることは反則とする。
3) 走行中に停止してしまい再スタートする場合、または旋回できず向きを変えて再発進する場合は、係員の指示・合図を待ってから行わなければならない。
第12章 クーラクラス競技規定
第44条 本競技は市販の単三形乾電池(マンガン、アルカリのみ)2本まで、約3Vを電源としたスターリングクーラを最長10分間動作させ、クーラ低温部の低温を競うものである。
第45条 主催者が用意した温度計をクーラに取り付けて、競技中の温度を測定する。
1)クーラの低温部はセンサ先端部を容易に取り付け、取りはずせる構造でなければならない。(図12-1、図12-2を参照)
2)気温と到達温度との差を記録とする。
3)クーラの各部はスタート時に競技場の気温ていど(気温 ± 5℃以内)とする。
4)クーラ放熱部は空冷のみとする。
5)温度計の電源を除いて、使用電池以外のエネルギー源を利用してはならない。
図12-1 K熱電対先端部 (A&D AD1214相当品) |
図12-2 低温シリンダへの熱電対の取り付け例 |
第13章 抗議・異議の申し立て
第46条 抗議・異議の申し立ては、書面でチームマネージャーから事務局に対して行うことができる。(競技委員等に対し個別にはできない。) 抗議は、暫定結果発表後20分以内に行うことができる。下された裁定に対しては抗議することはできない。
第14章 主催者の権限・その他
主催者は次の権利を保留する。
第47条 気象条件を含む不慮の事態により、競技を停止・中止、延期または変更する権利。
第48条 競技・車両規則全般の判定は、競技審査委員会が行う。また、疑義が生じた場合、ならびに本規則に規定されていない事項は、主催者の判断により追加、訂正できる。
第49条 本大会に起こり得るすべての人的負傷、物的損傷に対する責任は参加者自身にある。
第50条 本規則に記載されていない競技運営上の細則や、参加者に対する指示、本規則発表後に生じた必要指示項は公式通知によって示される。
1)チームマネージャーの住所に郵送される。
2)大会当日掲示板に示される。
3)開会式・競技説明において指示される。